動きたいのに動けない、気が付けばそんな自分になっていました。
動かなくてはいけないのに動くことができない。
なぜ動けないのかわからない、何が自分を動けなくしているのか見当もつかない、 考えても分からない。
自分はどこかおかしいのではないか、異常があるのではないか、
はたまた狂ってしまったのではないか?
そんな思いが頭の中を駆け巡っていくのでした。
まるで檻の中に閉じ込められて身動きがとれなくなってしまったかのようでした。
目には見えないけれども、そこにはたしかに檻が存在していました。
私はその檻の中に閉じ込められていたのでした。
努力しなければいけない。
失敗しないように考えなければいけない。
人の期待に応えなければいけない。
人に嫌われることをしてはいけない。
人の気持ちを考えなければいけない。
思いやりの心を持たなくてはいけない。
人には親切をしなければいけない。
むやみに自分の考えを言ってはいけない。
わがままを言ってはいけない。
慎み深く思慮深くあらねばならない。
欲しいものではなく必要なものを手に入れなければいけない。
人生を楽しんではいけない。
数え上げればきりがありません。
そして、自分で自分に課したこれらのルールを真面目に実行していった私は、
「幸せになってはいけない」という檻の中に自分を閉じ込めるに至ったのです。
檻の中はとても狭いので身動きが出来ずとても不自由です。
でも、檻の外に出るという選択肢はありませんでした。
なぜなら外の世界にはとても恐ろしい光景が広がっているように見えたからです。
まるで密林のジャングルのように、どこに何が潜んでいるかわからない危険極まる世界。
猛獣、毒ヘビ、毒サソリ、巨大な毒アリ、底なし沼にピラニアの棲む川、
海には人食いザメが泳いでいる…。
そんな場所に出ていったら一瞬にして命を落としてしまいます。
それだったら不自由でも檻の中に留まっていた方がマシ、私はそう考えたのでした。
そうして長いあいだ「そこ」にじっとしていたのです。
危険なジャングルの中でも生き延びる術<すべ>はあるのだということに気が付かずに・・・。
生き延びる術・・・・・それは実に簡単なことでした。
「装備」をすればよかったのです、「危険から自分を守るための装備」を。
ひとつずつ吟味しながら装備を揃えていく、せっかくだから自分の好みに合うものを。
ライフジャケット、サバイバルナイフ、銃、解毒剤、ロープ、地図、方位磁石、ペンライト…etc。
今までの自分人生を振り返ってみると、「危険」と思える場面を
運よく切り抜けることができた瞬間がいくつか見つかるはずです。
なぜなら、苦しいながらも今まで何とか生き延びることができたからこそ、
今ここに自分が存在しているのではないか、そう私は思うからです。
危険を切り抜けることができた時、その時自分はどんな行動をしたか、どんな言葉を言ったか。
そんなことを思い出してみると、自分を守るためのヒント~「道具」が見つかるかもしれません。